震源の深さ(関西編)

京都新聞毎月掲載、京滋地震情報

震源の深さ(関西編)
ほとんどが15kmより浅く
毎月掲載している上図には多くの地震の震央(震源の真上の場所)が示されていますが、震源の深さはどのくらいかご存じでしょうか?
下図は、上図と同じ範囲の2年8ヶ月分の地震を深さ80kmまでの東西および南北の断面図とともに示しています。
地震は深さ約15kmより浅いところで起きていて、それより深いところではほとんど起きていないことが分かります。
地下深くに下りていくと、およそ100mごとに3度の割合で温度が上がります。地下1kmでは30度上がり、深さ15kmでは500度を超える高温になり、岩石は融けてしまわぬまでも、かなり軟らかくなっています。
地震は、岩盤にかかっている力を、断層が急にずれることで解放する現象です。プラスチック定規に力をかけて曲げると弾性エネルギーが溜まっていきます。バッと放すとバシッと戻りますが、これが地震に相当します。
では定規を火であぶるとどうなるでしょうか? 定規は軟らかくなり、曲げても変形するだけで、手を放しても元に戻らなくなります。熱っせられ軟らかくなると弾性エネルギーを溜めることができなくなるのです。同じことが地下の岩盤でも起きていて、およそ地下15kmより深いと地震は起きなくなるのです。
下図では三重県の地下40~60kmのところで例外的に地震が起きています。これらは東海方面から沈み込んだフイリピン海プレートの中で起きている地震です。プレート内部は相対的に冷たく硬いため、この深さでも地震を起こせます。しかし、京都や大阪の下までは、地震を起こせるプレートは達していません。
(片尾浩・京都大防災研地震予知研究センター准教授)

20100921