京都新聞10月19日掲載 京滋地震情報
先月は、関西では地震の深さは15キロよりも浅く、それより深い地震はほとんどないというお話をしました。では、関東ではどうなのでしょうか?
下図は東京周辺の2年8カ月分の地震を、深さ120キロまでの東西および南北の断面図と共に示しています。図の範囲は上図と同じ面積をとりました。これを見ると、地震は地表付近から100キロ超まで、さまざまな深さで起きている事が分かります。東西断面図で右から左に向かってだんだん深くなっていく地震の並びが見えますが、これは東側に日本海溝から関東地方の下へ沈みこんでいる太平洋プレートの内部、あるいは陸のプレートとの接触面で起きている地震です。
また、南北断面図では、南から北に向けて傾き下がる地震の連なりが見られます。これはフィリピン海プレートが沈み込んでいる様子を表しています。このプレートは太平洋プレートよりやや上にありますが、図の北端近くの深さ60キロ当たりで太平洋プレートにぶつかっています。
関東では地震を感じる事が多いですが、それらは主にこのような深さ数十キロの深い地震によるものです。学術用語としてこのくらいの深さで起きる地震を「やや深発地震」と呼びます。特に二つのプレートがぶつかり合っている茨城県南西部の地下では頻繁に有感地震が起きます。逆に関東平野の下では20キロより浅い地震はほとんど起きていない事も図から読み取れます。
図の左端の例外的に浅い地震群は、伊豆半島東方沖や箱根周辺の群発地震で、火山活動と関連が深いものです。このように関東周辺の地下では、二つのプレートが沈み込んで立体的で複雑な震源分布になっています。専ら浅い地震しか起こらない関西とは、地震の起こり方の面でも極めて対照的であると言えるのでしょう。
(片山浩・京大防災研地震予知研究センター准教授)