8月11日駿河湾地震と東海地震との関係

8月11日の早朝、5時7分に駿河湾の深さ23Kmマグニチュード(M)6.5の地震が発生しました。最大震度は6弱で、静岡県を中心に東名高速道路の路肩が崩れるなどの被害が生じました。
この地震の震源は、想定東海地震の震源域の中でしたが、震源の位置や断層面の向きが異なり、東海地震とは考えられません。しかし、地震後にひずみ計で変動が観測され、東海地震との関係が問題となりました。気象庁は11日午前、東海地震観測情報を発表し、初めて地震防災対策強化地域判定会の臨時打ち合わせ会を招集し、「東海地震に結び付くものではない」と検討結果をまとめました。
東海地震に関して気象庁が出す情報には、「東海地震観測情報」に加えて、「東海地震注意情報」と「東海地震予知情報」があります。「予知情報」は3カ所以上のひずみ計で有意な変化が「前兆すべり」によるものと認められた場合などに出され、警戒宣言が発せられます。
今回、東海地震に結び付くものではないと判断した理由は、地震後のひずみ計の変動が東海地震の「前兆すべり」によるものではないと判断したからです。東海地震の「前兆すべり」は、 想定震源域内の断層面上でのゆっくりすべりのことを指しますが、今回観測された変動は違うというのが検討の結果です。前兆すべりが観測可能な大きさでなく、東海地震が不意打ちでくる可能性も否定できません。
東海地震が当面起こらないと判断したのではないことに注意する必要があります。
(飯尾能久京大防災研究所地震予知研究センター教授)
京都新聞京滋地震情報より